脱水症状に対する認識
この猛暑の中、みなさんはかなり頻繁に水分補給していると思います。
ところで、夏の前よりもトイレは近くなっていませんか?
「水分補給しているのだから、トイレが近くなるのは当たり前」と思われているかもしれませんが、
もしかしたら、脱水症状の前兆かもしれません。
脱水症状と聞くと、洗濯機に例えると、脱水し終わった後の状態を想像するのではないでしょうか?
実際、お客様に接していても、ほとんどの方がそのような認識です。
でも、ちょっと考えてみてください。
脱水し終わった後の状態というのは、水が出ません。しかし実際の脱水症状は、水分が不足しているにもかかわらず、トイレの頻度は増します。先の洗濯機で言うならば、脱水中の状態なのです。
正常ならばトイレには行きたくならない
人間は体内の水分によって体温調節をします。ですから、猛暑であれば、体内に大量の水を溜め込んで体温が上がらないようにします。
みなさんも経験があるかもしれませんが、暑い中で身体を動かしたりしていると、大量に水分補給しているにもかかわらず、汗で全部出てしまってトイレに行かなかったということはありませんか?
それは、水分を体内に溜め込んで体温が上がらないようにすると同時に、体内の熱を十分に吸収した水分を汗として出して、その気化熱によって体温を下げている姿なのです。
もちろん、冬場やエアコンが効いて寒い位の所にいる場合においては、水分によって体温が下がり過ぎてしまいますから、余分な水分をトイレに行くことによって排出します。
しかし夏場の暑いところにいる場合には、冬場と同じペースでトイレに行くということは、正常ではないのです。
なぜ脱水症状になるのか?
では、なぜ脱水症状になるのでしょうか?
それは、体内に熱が蓄積した結果、脱水によって熱を排出せざるを得ない状態になっているからです。つまり、体温が上がり過ぎている状態です。
ただしこの場合の体温は、通常体温計によって測る体温ではなく、身体の中心の熱・深部熱です。深部熱の上昇は、身体の不調を来すだけでなく、免疫を低下させるなど生命をも脅かします。その一つが熱中症です。
脱水症状や熱中症は冬場やエアコンの効いた所でも起こる
深部熱が上昇した状態になると、冬場やエアコンの効いた所にいても、脱水症状や熱中症が起こります。
実際に当院のお客様にも以前にそのような方がいました。
その方は、エアコンの効いた場所でデスクワークの仕事をしており、その日も同様に仕事をしていたのですが、頭痛が出てきたため来院されました。頭痛のほとんどは首の問題であるため、首の施術をしましたが、痛みをはじめ何ら変化がありませんでした。そこであることに気づきました。仕事場から当院まで暑い中外を歩いてきたにもかかわらず、どうも首から上で汗をかいた形跡がない。そのため、再度詳しく身体のことや症状について聞いたところ、アトピーを持っていて、首から上では汗はかかないとのこと。さらに突っ込んで話を聞いてみると、熱中症の症状と一致していました。
そこで首と腰を一気にアイシングして深部熱を排除したところ、すぐに頭痛も解消し、元気に帰られました。
「熱中症は暑い外でしか起こらない」という先入観によってそこを見逃してしまう可能性があることの教訓として、良い経験ともなりました。
このように、深部熱が蓄積してしまう、意外な所にいても熱中症になってしまうのです。
脱水症状を防ぐには・・・
脱水症状を防ぐには、当然のことながら、十分な水分補給が必要です。
ただし、お茶やコーヒーなどには利尿作用がありますので、その分は考慮に入れない方がいいでしょう。
そして水についても、湯冷ましはNGです。むしろ、一度凍らせた水が解けたもの(これを「氷解水(ひょうかいすい)」と言います)が良いです。
水の分子は通常単独ではなく、いくつかが集まって「クラスター」という塊になっています。これが熱を吸収すると一つ一つに分かれます(これを「自由水」と言います)。このクラスターが小さいほど汗や尿で出やすくなります。このクラスタ―は、ひとたびバラバラになると、再度結合することはありません。ですから、湯冷ましはNGなのです。
また、余分な深部熱を捨てるために、首をアイシングすると良いでしょう。先にも触れましたが、アイシングは症状が出てしまった時にも有効です。
暦の上では秋。もう9月ですが、まだまだ猛暑は続くようですので、脱水症状や熱中症には十分お気をつけください。